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「ついに幕府滅亡のカウントダウンが始まりもしたっ」~風雲児たち幕末編28巻~

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 正月休みに突入して、ようやく書く時間ができましたので。
 「進撃の巨人」「あさひなぐ」「ハイキュー!!」「へうげもの」...
 書かねばならない、書きたい新刊がそれはもう山のようにあるんですが、
 きょうはこれを。

 「風雲児たち 幕末編」28巻(みなもと太郎著、リイド社)。

「文久二年はやたらめったらイロンなことが起きる」とは作中の著者のセリフ。

 文久2年=1862年。
 明治新政府樹立の1868年まで、あと6年ですか。
 ぺリー来航の1853年から9年。
 幕末15年間の半ばをすでに過ぎましたね。

 薩摩と長州が手を結んで一挙に幕府を倒してしまったかのような印象が持たれがちな、この時代ですが。
 そんな大雑把なことができるわけはない。
 細かい部分をみると、そんな単純なものではなかった。
 国中で怒涛のようにいろんなことが同時進行で動いている、
 まさに文字通り「激動」の15年間だったんですね。
 
 だからこそ。
 その激動の経緯を、つぶさに一つ一つひもといていきながら克明なカメラワークで案内してくれる本書は凄いです。
 
 この28巻、キーポイントは「薩摩、上洛」。
 キーパーソンはやっぱり西郷さん。
 
 島津久光、ついに上洛へ。
 事前にその事実を伝え聞いた全国の浪人達の、
 「すわ、倒幕への挙兵か!」
 ...との勘違いによる期待がふくれあがり、爆発しそうな有様。
 久光上洛を倒幕への一石に、との大久保一蔵の思惑をはるかに超えてそれはとどめようもない勢いに...。
 そのような事態を招いたのが清河八郎。
 
 「ひっそりと大久保一蔵が慎重に火を付け
  少しずつ大きくしようとしていた火種に
  清河がガソリンをぶちまいて爆発させてしまったのだ!!」

 その状況を、内心は感涙にむせぶほど喜びながらも、ここは勢いにまかせて暴発させるわけにはいかないのが西郷ドン。
 何がなんでもそれを抑え、コントロールせねばならない。
 
 久光の「下関で待つように」との命にそむき、事態を収拾すべく全速力で下関から京を目指す船の上。
 月を見上げながら、月照と心中を図った5年前のあの夜を思い返してしみじみ述懐する西郷。

「あの夜は満月でごわした...
 じゃっど心ン中は真っ暗闇...
 幕府に追われ追われ
 月照様を抱いて錦江湾に身を投げもした...                 
 倒幕など夢のまた夢の思いでごわした

 あれから足かけ五年...」

 そして船端のへりをつかんで叫ぶ西郷。

   「ついに幕府滅亡のカウント・ダウンがはじまりもしたっ」

「愉快でごわすっ
 ここまで来れば後戻りはなかっ
 倒幕は必然となりもしたっ」

 同行の森山新蔵・村田新八に拳を固めて明るく叫び、

「それゆえ俺(おい)は急いで追いつき 
 皆を止めねばなりもはん...」

 吹っ飛ぶ森山・村田。

 日本全土の浪士達が久光上洛に「すわ倒幕」と勇み立ち沸き上がっている。
 その状況に内心は快哉を叫んでいても、安易にそれに乗って突っ走ればどういうことになるか、西郷には分かっているのだった。

「燃え盛る彼らの士気を消す事なく
 今回は決して暴発せぬよう言い含め
 犠牲者を出さず
 倒幕勢力を結束・温存させるのが目的ごわす」
「そんな事が可能でございますか」
「それが出来るのは俺(おい)しかおりもはんっ」

 吹っ飛ぶ森山・村田。

「ここはズッコケられては困る場面ごわす」
 
 しかし。
 久光の命を受けて顔面蒼白で追ってきた大久保につかまり、西郷は薩摩に送り返されてしばらくは空しく日を送ることとなる。

 別れ際、盟友大久保に、
「何にせよ俺(おい)の目に徳川家は滅亡の道に踏み出しもした
 もはや心残りはごわはん
 あとはそれが早まるか延びるか
 無益な血をどれだけ流さずに済むかは
 すべておはんの悪だくみにかかっとるゆえよろしく頼みもす

 日本中をだまくらかしても倒幕に持ち込めるのはおはんしかおらんのじゃっ」

 ...との言葉を送り、事態収拾を託す西郷であった...。

 その大久保。
 久光を江戸城入りさせるため、京の公家を通じて位階を得ようとしていた策が、250年前に定められた「禁中並公家諸法度」によって不可能であることが判明。
 暗礁に乗り上げ、またも顔面蒼白になって、
「こんな初歩的ミスを犯していたとは...」
 と、夜の京をさまよう。
 そこへ、目の前に現れた黒い影。

 闘う公家にして倒幕の影の立役者、岩倉具視であった――。

 この2人の邂逅によって、事態は秘密裏に劇的に動いていくんだろうなとワクワクさせてくれる展開になってきました。

 この本筋に加え、今巻ではシーボルト帰国、長州の豪商・白石正一郎初登場など盛りだくさんの内容。

 「世に棲む日日」(司馬遼太郎著、文春文庫)で高杉晋作ファンになった私には、白石さんのお名前を見ただけで「その節はありがとうございました」と頭の下がる思い。
 しかし幕末まで、名前のわかっているだけでも400人の志士の面倒をみていたとは知らなかった...。凄い。

 これから、更にいろんなことが同時に劇的に動いていきそうな幕末絵巻。

 予告によると、次巻29巻は「寺田屋の惨劇......!!」。
 乞うご期待!!

 あ、あと、肥後勤皇党の一員にさりげなく?くまモンが加わってるのがめっちゃかわいかった!(笑)

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プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

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