10月23日の任期満了に伴うみなべ町長選に向け、元町議で農業の新人山本秀平氏(32)=晩稲=が25日、立候補を表明した。約半年前に出馬を決意し、前日の24日付で議員を辞職。「いまから集中して取り組むべき課題が複数あることに危機感を持ち、スピード感を持った課題解決のためには町長という立場で進めた方がよいと考えた」と決意を語った。
山本氏は家業の梅農園を継ぐため、大学卒業後に就農。祖父の賢治さんから仕事を教わる中、就農4年目で賢治さんが急死し、精神的につらい時期があったが、地域の人たちの支えで立ち直ることができたという。その経験から、みなべには地域の豊かなつながりがあると感じ、自然だけではない「豊かなみなべ町」を次の世代に残したいと政治を志した。
町議には2020年に初めて立候補し、トップで当選した。議員活動を行う中で、町議では課題解決に時間を要すると感じ、職員を見ていても課題解決に必要なことに取り組めているのか疑問はあったという。1期目任期途中での立候補については、「災害対策や少子高齢化など、みなべ町が岐路に立たされている。危機的な状況で、町民の皆さんから期待の声を受けたことが大きい。若さを押し出すつもりはなく、年齢は関係ないと思っている」と話した。
公約には町長給料の2割削減、地域防災計画の見直し、一次産業の所得向上、ふるさと納税額のアップ、学校給食の無償化などを掲げ、行政・企業・住民が一体となった対話型重視の町政を目指すとしている。
山本氏は田辺高校卒業。2014年3月石川県立大学生物資源環境学部を卒業後、みなべに戻り梅農家に。20年町議に初当選。23年からは和歌山若手政治家会の会長や関西若手議員の会副会長も務めている。無所属での出馬となる。
町長選に向けては、現職の小谷芳正氏(74)=筋・4期=が今年3月の議会定例会で出馬を表明している。ほかにも、町内在住の男性が立候補に向けて準備を進めており、合併した04年以来、20年ぶりの選挙戦は三つ巴の可能性もある。