返り咲きか続投か、激しい一騎打ちを繰り広げてきた県議選御坊市選挙区の舌戦もきょう一日限り。自民党元職の中村裕一氏(63)は県議8期30年の経験と実績を武器に政権与党の強みを強調しつつ、草の根運動を展開、前回選挙で相手陣営に流れた保守票などを引き戻す動きがある。共産党現職の楠本文郎氏(68)は9期35年間の市議時代を含め、党派を超えて人柄が広く浸透、今年1月の市議選で長女香織さんがトップ当選を果たした勢いが続き、若者層からの新たな支援も生まれている。両陣営とも手応え十分、がっぷり四つのままラストスパートをかける。

 投票率は4年前の前回選挙が62・53%となっており、前回と同じ顔ぶれの今回は前回並みかややアップするとの見方が多い。先月30日現在の選挙人名簿登録者数は御坊市が1万8949人。投票率が前回並みなら、1万1800票余りを両陣営が奪い合う形となる。

 近年の御坊市選挙区の状況をみると、2011年4月の選挙では中村氏8168票、旧民主党新人斎藤麻希氏3041票、15年は無投票。19年の前回は楠本氏が6193票、中村氏が5946票で、247票差の決着となった。17年10月、衆院選和歌山3区の御坊市は二階俊博氏6715票、楠本氏5099票。

 中村陣営は各種団体、企業、地区などの推薦が約100件に上るが、組織力に頼るだけでなく、本人が精力的に有権者に顔を見せる形で支援を呼びかけてきた。前哨戦から久美子夫人と続けてきた辻立ちが共感を呼び、今回は女性部の動きが活発。「やっぱり自民党でないと」という有権者の動きもある。また、16年5月、現職柏木征夫氏と新人二階俊樹氏が戦った御坊市長選挙のしこりも薄れており、現職三浦源吾市長や前回相手陣営を推した薗地区の団体の応援も受けて、得票の上乗せ材料がそろう。ムードは上向き、終盤で一票一票を着実に集票できるかどうかが、勝利へのかぎを握りそう。陣営の目標は6400票。

 楠本陣営は、地元塩屋区で人気を誇り、旧御坊町などでも日頃の市民と向き合う活動による根強い支援を受けるほか、市職員OBや一部保守系議員の支援の動きもある。告示後は一日に20カ所以上の街頭演説やハンドマイクを使って歩きながら支持を訴える運動が中心。4年間の実績として日高川の洪水対策やコロナ対策などをアピールした上で、子育て世帯への支援や防災対策などの取り組みを強調。若い女性らが手を振る姿や勝手連的に応援する支持者の輪も拡大、共産党の枠を越えて無党派層などからの支持が広がっており、このままの勢いで得票を上乗せし、勝利につなげられるか。陣営の目標は6500票。

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