ひょうで傷ついた梅の実。多くの実に被害が出ている

 今年は梅がかつてない大不作になると予想されている。暖冬で梅の花が例年より早く開花、不完全な花が多く着果が少なかったことや、3月に降ったひょうによって実に傷がつくなどの被害があったことが主な要因。日本一の梅の里、みなべ町のベテラン農家からも「これまでに経験したことのない大不作だ」という声が聞かれている。

 県うめ研究所によると、今年の梅の花の咲き始めは、平年(2月10日ごろ)より23日早い1月18日。開花が早いとめしべが未発達の状態で、受粉を担うミツバチの活動も時期が早いと活発化しないため、結実しにくくなる。先月19日、JAや日高振興局などでつくる日高果樹技術者協議会は、南高梅の着果状況について、平年比の29%だったとの調査結果を発表した。「平成以降2番目の大不作」といわれた2020年は平年比約60%で、今年はさらにその半分となっている。

 3月20日には追い打ちをかけるように、県内の広範囲でひょうが降った。ひょうで梅の実に傷がつくと、等級が著しく下がり、価格などにも影響する。県は先月22日、ひょうによる県内の梅の被害額が21億円を超えると発表。支援策として無利子の特別融資も実施するとしている。

 みなべ町内の梅畑でも、個体によって差はあるが、「樹に実がなっているのが見つけられない」という声が聞かれる。収穫量の減少に加え、秀品率の低下となると農家にとっても厳しい1年になる。梅農家歴60年以上になるという西本庄の70代男性は「いままでも不作年の危機はあったが、品物にはなっていた。今年はそれ以上に厳しい年になると感じている。こればかりは自然現象によるものなので仕方がない。来年はいい実がなり、豊作になることを願うばかりです」と話す。

 農林水産省近畿農政局の統計によると、過去5年の県内の梅収穫量は、2019年で5万7500㌧、不作年の20年で4万1300㌧。以降、21年6万7500㌧、22年6万4400㌧、23年6万1000㌧と推移している。平成で最も不作だった1992年は、3万5200㌧となっている。