
田辺市の独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターで16日、最新の放射線治療に関する市民講座が開かれ、同センター放射線治療専門医の濵瑞貴医師(34)が紀中・紀南地域で唯一設置されているIMRT(強度変調放射線治療)の最新型装置について講演。濵医師は「紀中・紀南に住む患者にも、都市部と同等の治療を提供したい」と、地域医療に対する思いを発信した。
IMRTとは、放射線の強さに強弱をつけ、がんなどの悪性腫瘍に集中的に照射する放射線治療の一種。同センターでは2011年に県内で初めて導入され、今年3月からバリアン・メディカル・システムズ社(米国)の「トゥルービーム」という装置に更新し、同月11日から治療に使用している。
トゥルービームは、「ハイパーアーク」という照射専用ツールを搭載。これにより旧装置よりも強度な放射線量の出力、悪性腫瘍へのより的確な照射が可能になった。旧装置は、照射部の角度を変えながらビームのオンとオフを繰り返し行う方法(ステップアンドシュート法)が採用されていたが、トゥルービームは照射部が回転しながら停止することなくビームを発し続けることができる。旧装置では1時間以上かかっていた治療時間が30分以内に短縮され、患者の身体的・精神的負担も軽減された。
対象疾患は、ほぼすべてのがん種に対応。同センターではトゥルービーム導入後、約2カ月で35人の治療を行い、患者の割合は前立腺がんが多いという。がんそのものを治癒する根治照射、転移や圧迫による症状軽減のための緩和照射などさまざまな目的に対応し、診察から約1週間で治療を受けられる。
濵医師は「切らない放射線治療が全ていいとは限りません」としたうえで、「皆さんの家族がどのような治療を受けたいか、さまざまな選択肢を用意し、和歌山市などの遠方に行かなくても、質の高い治療を受けられる環境を提供したい」と話した。
講座の後は、トゥルービームが設置されている放射線治療室の内覧会が行われ、参加者は最新の機能に関心を高めた。


