少年サッカーの御坊キックマンジュニアFCを立ち上げて30年以上指導、中学生チームのベロー・ラ日高の監督も務めていた梅本昌照さんが、10月に急逝した。筆者は入社以来少年サッカーを担当、梅本さんとも27年余りお付合いさせていただき、日高地方のサッカーのことを本当にいろいろ教えていただいた。自分のチームの選手だけでなく、日高地方の全選手に目を配り、トレセンのコーチとして多くの選手育成に貢献、サッカーの普及やレベルアップに尽力した功績はお世辞ではなく本当大きい。

 常に口にしていたことがある。キックマンのコンセプトでもあった言葉、「やって楽しい、見て楽しいサッカーをする」。選手を型にはめない、個の能力を伸ばそうとしていた指導には大いに共感した。試合中、いいプレーをした選手には「素晴らしい」と声を張り上げてたたえ、判断が難しい場面では「さあどうする」「自分で考えて」と声をかけていた姿が目に焼き付いている。日高地方唯一のJリーガーを輩出したことにも通じる指導だったと今でも思っている。

 急逝からちょうど一カ月後、うれし知らせがあった。サッカーやスポーツで生活を豊かにしようと取り組んでいるSISの坂本寿里也さんが、ベロー・ラ日高の新しい監督に就任した。梅本さんは生前、「寿里也たちが頑張ってくれている」とうれしそうに話していた。天国でもきっと喜んでいるだろう。坂本さんは「プレッシャーもあります」といわれていたが、後押しする応援団はたくさんいる。中学生がサッカーを続けられるよう、そして梅本さんへの恩返しも込めて、これからも記事で応援したい。(片)