県高校総合文化祭自然科学部門が11、12日の2日間、和歌山市の和歌山信愛大学で行われ、日高中津分校の自然科学部同好会(中井啓太会長)が日高川のカワゲラ目(水生昆虫)の分布調査を発表し、最優秀賞を獲得した。日高高校の科学部も化学部門で優秀賞を受賞。来年夏に開催される全国高校総合総文(全国大会)に出場する。

 主催は県高校文化連盟で、県内8校から28チームが参加し、物理、化学、生物、地学の4部門とポスター発表の部で競った。発表は12分間以内とし、和歌山大学や和歌山信愛大学の教授4人と各校の顧問8人の計12人が内容や発表態度などを審査した。

 中津分校自然科学部同好会は2017年度に発足し、日高川の水生生物を継続して調査。現在の部員は会長の3年生、中井君1人だけで、顧問の北又一弘教諭と2人で22年11月から23年10月までの1年間の研究成果を発表した。

 テーマは「日高川におけるカワゲラ目の分布について」。調査方法は本流の船津、高津尾地内、支流の伊佐の川、猪谷川、寒川、上初湯川の計6地域でカワゲラの幼虫、成虫、羽化殻をピンセットなどを使って採取。標高200㍍以上を「山地」とし、200㍍以下を「低地」として生息の分布をまとめた。その結果、ノギカワゲラ、ヒメカワゲラ属、オオクラカケカワゲラなどは山地に、フタツメカワゲラ属、カミムラカワゲラ属などは低地に多く、コナガカワゲラ属は平均的に分布していることなどが分かった。

 中井君は最優秀賞の受賞に、「頭が真っ白になるぐらいびっくりしました。とてもうれしいです」と話し、「来年夏の全国高校総合文化祭が開催される時にはすでに卒業しています。今の部員は自分だけなので、ぜひ、新たな人に入部していただき、全国の場で発表してもらいたいです」と話した。

 中津分校自然科学部同好会はポスター(パネル)発表の部でも「日高川のゲンジボタルについて」を発表し、優秀賞を獲得した。

 化学部門では日高高校科学部の川口智也君、藁科貴太君、橋本昊征君(いずれも2年)のチームが、「寒天プラスチックの実用化に向けて」で優秀賞を受賞。寒天プラスチックは通常のプラスチックの代用品として期待されているが、水に濡れることにより強度が落ちることが課題となっている。3人は強度を上げる方法として「炭酸カルシウム」「片栗粉」「スクロース」「タルク」の4つの添加物をそれぞれ3つの分量で加え、合計12パターンの寒天プラスチックを作って強度を調査。強度調査には電子工作用のレゴを使って装置を自作。結果、炭酸カルシウムを多く加えた寒天プラスチックが最も強度が強くなることを導き出した。

 3人は「寒天プラスチックを作る際の乾かす過程が難しく、何度もカビが生えたりきれいな形にならなかったりして苦労しました。全国では最高の賞を目指して、プレゼン力アップにも力を入れていきたい」と話している。

 日高からは物理部門で科学部の中畑遼真君、阪本圭治郎君、前田明南さん(いずれも1年)が3位に入った。研究テーマは「糸電話による音の伝わり」で、さまざまな材質の糸や紙コップを使って音の聞こえ方を調査。一定の音を出すため録音した音声を使い、測定にはスマホアプリを活用。アイデアを生かしたユニークな研究で、糸が太いほうが伝わりやすい、コップの材質はあまり影響しないなどの結果をまとめた。3人は来年の近畿総文の出場予定となっている。