日置理事長(右から2人目)らが会見で頭を下げて謝罪

 社会福祉法人和歌山県福祉事業団が運営する上富田町の障害者支援施設「南紀あけぼの園」で、30代女性職員が施設の利用者に対して目や口を養生テープでふさぐなどの虐待を繰り返していたことが分かった。同事業団が9日会見して詳細を明らかにし、「心より深くお詫び申し上げます」と謝罪。再発防止と信頼回復に努めるとした。

 同事業団によると、30代女性職員は生活支援員(主事)で、3年前からあけぼの園で勤務。今年の元日午後8時半ごろ、就寝時間になっても大きな声を上げ続ける利用者がいたため、5分程度、目と口を養生テープでふさいだうえ、スマートフォンでその様子を撮影し、画像をLINEで同僚に送付。虐待行為を現場で見ていた職員もいてその女性に注意をしたが、強く制止することまではしなかった。その後、他の一部職員にもこの虐待の話が伝わったが、園長への報告は虐待発生から約2カ月後の2月27日だった。

 さらに虐待を行った女性職員は昨年7月ごろから、利用者に対して顔や頭を叩く、蹴るなどの暴力のほか、ドライヤーで利用者の髪を逆立てた様子の画像を同僚に送っていたことも判明。この女性職員については現時点で養生テープの虐待を含め、利用者の関係3市町から8件(人)が虐待認定を受け、3件が調査中となっている。

 会見は日置美次理事長、中井史朗園長らが行い、利用者、家族、関係者への謝罪の言葉を述べ、虐待事案の発生はもちろん、上司への報告が遅れたことが問題だと説明。10日付で虐待の加害者を懲戒解雇、園長、副園長、目撃した職員、画像を受け取った職員を減給処分するとした。すでに利用者の家族らへの説明も行い、入所者らは継続して施設を利用している。今後、同事業団では法人虐待防止委員会に新たに外部委員を委嘱し、虐待再発防止計画を策定するなど、運営体制を見直すという。

 同事業団は1965年に設立。現在、県内で75の福祉事業所を運営しており、日高地方でも由良あかつき園や印南町のグループホームはるなどがある。南紀あけぼの園は事業団本部と同じ敷地内にあり、利用定員は施設入所40人、生活介護50人、職員は34人。