ゴマハゼの上面(塩屋文化協会撮影)
ゴマハゼの側面(県立自然博物館の平嶋さん提供)

 6日に開かれた塩屋文化協会、塩屋公民館主催の日高川河口干潟観察会で採取されたハゼ類の個体が、同河口では12年ぶりの確認となるゴマハゼと分かった。県のレッドデータブック(2022年版)で準絶滅危惧種になっており、同河口では2011年以降確認されていなかった。同文化協会の依頼で調べた県立自然博物館学芸員の平嶋健太郎さんは「学術的にも価値が高い」と話している。

 当日、参加者の1人が採取したもので、その場では詳細が分からず、同博物館に写真データを送って同定を依頼していた。9日に平嶋さんから「ゴマハゼ」との返答があった。

 ゴマハゼは和歌山県、高知県、九州、南西諸島の汽水域に分布。海外では南岸を除くオーストラリア、西太平洋域。小さな魚で、成魚でも2㌢未満にしかならない。平嶋さんは「日高川河口のゴマハゼは、以前は王子川河口と日高川の合流付近に群れている様子がみられ、越冬もしていましたが、2011年以降は工事と大水害の影響で確認できていませんでした。県内では那智勝浦町、白浜町、田辺市などの安定した汽水域でみられます。日高川河口は分布の北限と思われ、学術的にも価値が高いです」と話している。

 この日の観察会では、講師の和歌山大学古賀庸憲教授が絶滅危惧種Ⅱ類のシオマネキも確認(既報)。塩屋文化協会では「これを機会に、地域の方々にも干潟に関心を向けていただけたらと思います」と話している。