
大阪、和歌山の男女3人が美浜町の三尾を拠点に、猿回しのチーム「お猿の森」を立ち上げた。元々勤めていた猿回しの会社を辞め、「お猿さんファースト」で決めたという自然豊かな三尾で活動を開始。温かく受け入れ、よくしてくれる地域住民との「ご猿(縁)」に感謝し、1000年以上の歴史があるという日本の伝統芸能を全国へ届ける。
メンバーはリーダーで大東市出身の森京介さん(28)と相方でオスの大福君、京介さんの妻で和歌山市出身の紬さん(27)とメスのみかんちゃん、大阪市出身の森美樹(はるな)さん(34)とメスの幸ちゃんで、日本の伝統芸能を絶やさぬようにと願いを込め、「いちからはじめる猿回し」にチャレンジ。エンターテイメントのプロデュースを行っている株式会社タマツエンタープライズ(大阪市)の応援サポートを受け、会社としての独立を目指して頑張っている。
今年3月から三尾で3人3頭の生活がスタート。自然あふれる環境のなか、紀伊日ノ御埼灯台へ毎日散歩をし、稽古に励んでいる。これまで和歌山市の和歌山城や和歌浦漁港おっとっと広場、奈良県河合町の産直市で公演を行い、和歌山市の和歌祭では猿引として渡御行列に参加した。来月からは北海道を中心に出張公演を開催。千葉県成田市や宮城県女川町での地方巡業も行い、11月に三尾へ戻るスケジュールになっている。
3頭はいずれも2歳のニホンザルで、大福君は食欲旺盛で一番足が速く、みかんちゃんは一番小柄で人間っぽい動きが特徴。幸ちゃんは一番体は大きいが気が小さく、よく「ケンケン」をする。京介さんによると、公演では笑顔を届けるとともに、テーマの『諦めない気持ちが大切』ということを発信。「日本の伝統芸能を、まずは日本中の人に知ってもらえるように活動したい」と話している。
三尾では声をかけてもらったり、差し入れをいただいたり、「本当によくしてもらっています」と3人。「少しずつ恩返しができれば。三尾や美浜町のことを知り、公演先で発信していきたい。ここから全てが始まる。『ご猿』をつなぎ、大きくしていきたい」と張り切っている。