全国的にインターネット上のイラストを無断で使用し、著作権者の権利を侵害したとして、自治体が損害賠償を請求されるというケースが、数年前から相次いでいる。今年5月には福島県南相馬市が生涯学習センター会報紙に、職員がネットから取得した画像を無断で載せ、作成者から損害賠償請求を受け、25万円で和解した。

 先日、みなべ町でもネット上のイラストを議会広報に無断使用し、以降も6年間にわたり町のホームページで掲載していたことに対して、町が計22万円の損害賠償を支払うという事態があった。ネット上にあった保健関係のイラストがフリー素材だと勘違いしたそうだ。それにしてもこんな地方の小さな町のホームページや議会広報にイラストが掲載されていたのがよく分かったものだと不思議に思うが、類似画像を検索するアプリもあるそうで、そういったものを使って調べている人もいるかもしれない。著作権を侵害された人からすれば腹立たしいだけでは済まされない問題で、損害賠償は当然の権利だと言える。

 使用した側にしてみれば「無料 イラスト」などのワードで検索して出てきたイラストが無料だと思い込んでしまったケースが多い。中には「個人使用のみ無料」という注意書きを見落としていた場合もある。確かにきちんと読まない方が悪いのだが、中にはわざと落とし穴を作って無断使用を誘うような悪だくみをしている人がいないとも限らない。

 ネット時代のいま、ちょっと検索すればどんなイラストや画像でも出てくる。勝手に使用しないことが今回のような事態を避ける解決策。使う場合には十分注意することが必要である。(吉)