石井裕也監督、宮沢りえ主演の問題作(©2023「月」製作委員会)

 昨年夏から秋にかけて、美浜町などで撮影が行われた映画「月」が、10月13日から全国公開されることが決まった。実際に起きた障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説が原作で、宮沢りえ、オダギリジョーらが出演。日高地方からも多くの人が警察官役等のエキストラで参加した。

 脚本・監督は「舟を編む」「茜色に焼かれる」の石井裕也。ストーリーは、深い森の奥にある重度障害者施設で働き始めた堂島洋子(宮沢りえ)は、他の職員による入所者に対する心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っていた洋子の同僚さとくん(磯村勇斗)だったが、彼の中で増幅する正義感や使命感が徐々に怒りを伴って頭をもたげ始め、やがて“その日”がやってくる――。出演はほかにモロ師岡、鶴見辰吾、原日出子、高畑淳子、二階堂ふみら。

 撮影は美浜町のほか和歌山市や有田市でも行われ、美浜町では松林や火葬場などがロケ現場となり、宮沢りえやオダギリジョーらが地元のエキストラとともに撮影に臨んだ。

 救急隊員役として撮影に参加した御坊市の会社員の男性(52)は、「猛暑のなか、スタッフも役者さんもみんな汗だくになって頑張っていました。あのときの緊張感もそうでしたが、作品は思った通りかなりシリアスで、反響の大きい映画になりそうですね」と話している。