九州で多くの死者・行方不明者を出した九州豪雨から3年が過ぎた。特に熊本では被害が集中し、浸水や土砂崩れによって約4000軒以上の住宅が全半壊、現在も1000人以上が仮設住宅に住んでいる。そして先週、線状降水帯による激しい雨が再び熊本を襲った。何年もかけて生活再建に費やした道のりを、たった数時間の雨であっけなく壊されてしまうのかと思うと胸が痛いし、自然はいかに恐ろしいかを実感する。
政府は、先月2日に県内で発生した大雨が「激甚災害」に指定される見込みになると発表した。これにより、被災自治体への財政援助や被災者への助成の補助率が1~2割多くなる。これで地域のインフラ復興のスピードが早くなることが期待できるが、完全な復興には何年もの時間がかかる。その間、地元に住む若者がどんどん外に流出してしまう問題も浮き彫りになってきている。実際に東日本大震災の被災地では、震災から10年以上が経った今、若者の流出が止まらず、人口が減少している。
若者にとっては住み慣れた地元に愛着はあるけれど、自分の自己実現のためには地元を離れざるを得ないわけで、再び戻って来るかとなればその確証はない。復興の段階で若者が活躍できるような基盤や環境が整備されれば、「これなら地元でチャレンジできそう」と思い、帰ってくる若者も増えると思う。
「復興」の言葉の意味は「以前の状態に戻すこと」とされているが、「戻す」ではなく「変える」という意識で、やはりここで住みたいと思わせるまちにすることが必要になってくるのではないか。(鞘)