実家の近くを流れていた川では夏場になると〝川ガキ〟が現れた。川ガキとは川で魚などを捕まえたり、競って泳いでみたりし、時間が経つのを忘れて日が暮れるまで川と戯れる元気な子どもたちのこと。筆者もそんな川ガキの1人で、小学生だった四十数年前は夏になると、真っ黒になって川で過ごした。しかし、最近ではそんな川ガキがほとんど見られなくなった。

 当時は川に魅力があった。その頃は春に稚アユが海からたくさん遡上し、堰堤では上流を目指して飛び跳ねる光景が当たり前だった。水中眼鏡を着けて川の中に潜っても魚を捕まえたり、石をひっくり返して手長エビを捕ったりして遊んだ。テレビゲームが普及していなかった時代、川は子どもたちの飽きない遊び場だった。しかし、今はその頃の川の姿はなく、橋の上から眺めても魚が泳いでいる姿が以前ほど多くない。川に物足りなさを感じてしまう。

 アユに限って言えば、かなり少なくなったように感じる。全国的な傾向で、インターネットで調べてみると、1990年代から漁獲量が減少。原因についてははっきり分かっていないが、東日本と西日本では漁獲量の減少スピードが違うという。元々は西日本の方が漁獲量が多かったのが近年では完全に逆転。暖かい西日本で鮎が減って、寒い地域が多い東日本ではそこまで減っておらず、地球温暖化が原因とも考えられるという。

 全国の各河川では天然アユの復活を目指した取り組みが行われている。アユの遡上量が増えることで釣り人らが集まり、宿泊所などが潤う。地域を訪れる交流人口の増加にもつながる。川ガキの姿がみられる魅力ある川を取り戻し、次世代につなげることが重要だ。(雄)

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