質問に応じて自然な文章を作成する対話型AI(人工知能)「チャットGPT」について、文部科学省が教育現場での取り扱いを示すガイドライン(指針)の検討を始めた。読書感想文などが自動で瞬時に作れることなどを問題視しているためで、日高地方の教育現場でも学習への影響を懸念する声が上がっている。

 チャットGPTは米新興企業が昨年11月に無料公開し、急速に利用が広がっている。簡単に登録でき、チャット欄に質問したいことなどを入力すれば、AIがネット上のデータを整理し、自然な文章で回答する。ビジネスの効率化などが期待される一方、教育への悪影響が懸念されている。

 懸念されているのは読書感想文などで、例えば「芥川龍之介『羅生門』の感想文」と入力すれば、「この小説は、京都の門前にある荒れ果てた羅生門で…」と小説の内容の説明から始まり、「私はこの小説を読んで、人間の欲望や嘘、裏切りといった人間の弱さや欠陥を描いた作品だと…」など具体的な感想、印象に残った箇所も記されている。回答は一通りでなく、質問する文章を微妙に変えることで異なる文章での回答になり、さらに自然な文章のため、AIかどうかの判別も難しくなっている。

 日高地方の学校現場では、現時点でチャットGPTを宿題に使っているなどの影響は出ていないが、今後の使用への懸念の声が聞かれた。ある教諭は「こういった感想文では個人の力を伸ばすことができず、また能力の把握が難しく、その後の学習指導にも影響が出る。課題を出す時に使用しないよう指導する必要が出てくるかもしれない」「感想文だけでなく翻訳機能を使って英語教育にも影響が出るかもしれない」などと指摘。県教委は、現時点では対策の検討はしておらず、今後の文科省の方針などを注視しているが、現場の教諭は「教委などの通知がなくても、児童・生徒が学習によくない使い方をしていることが分かれば、個別に対応していく必要がある」などと話している。

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