今月17日で阪神淡路大震災から28年が経過した。震災はその後の社会に大きな影響を与えたのは言うまでもない。NPO法人もその一つだ。

 被災地に全国から多くのボランティアが集まったことから1995年は「ボランティア元年」と呼ばれている。震災をきっかけに、ボランティアの自由な社会貢献活動を後押しすることを目的とした特定非営利活動法人促進法(NPO法)が98年に成立。ボランティア団体は法人格を持つことが可能になり、社会で活動する基盤が整備された。神戸では被災者の心のケアや地域の居場所づくりに取り組むNPO法人が多く設立され、街の復興とともに人々の心の復興を長きにわたり支えてきた。

 NPO法が成立して25年。法人を設立した担い手も高齢となり、その世代交代が大きな課題となっている。復興を担ってきたNPO法人も後継者が見つからないため事業の存続が難しくなり、多くが解散に追い込まれている。それにより、震災当時の人々の想いや活動理念が風化してしまうことも懸念されている。

 NPO法人の活動費は、行政からの委託収入に頼るところが多く、委託収入がないところは手弁当で活動しているのがほとんど。人件費が出せるNPO法人はごくわずかに限られている。若者が法人に参画してもらうためには法人の運営資金や人件費を確保する必要があるが、それもなかなか難しい。じゃあボランティア精神で、という訳にもいかない。

 震災当時、立ち上がった人々の想いをいかに継承していくか。復興の想いを形にしてきたNPO法人の新たな活動の展開が模索され始めている。(鞘)