大寒の20日夜、「南無阿弥陀仏」を唱えながら歩く豊嶋住職

 日高川町玄子、浄土宗法性山円通寺の豊嶋英雄住職(68)は、今年も約1カ月間の寒行を行っている。

 寒の入りから立春の前日までの寒中(今年は1月6日から2月3日)に行う修行で、網代笠に黒衣、白衣、手甲、袈裟、数珠、頭陀袋を身につけ、伏鉦(ふせがね)をたたきながら一日3~4時間、「南無阿弥陀仏」と唱え川辺地区を中心に歩いている。

 期間中は、米や酒、肉、魚などは一切口にせず、食事ははったい粉や豆乳、野菜などで過ごす。体調のすぐれない日や雪、大雨などでも歩き、寒行期間中に父を亡くしたときも一日も休むことなく続けている。副住職をしながら郵便局勤めをしていた27歳のとき、僧侶としてあるべき姿を思い、まず一歩踏み出したいと始め、42年目の今年は「70歳が近くなったいまこそ一歩踏み出すことが大切。『これでいいわ』と思ったらそこで終わってしまうので、体が続く限り続けさせていただきたい」と話していた。

 10以上あるコースのうち、大寒の20日は中津川、千津川方面へ。次第に冷たい風が強まる中、宗福寺、長泉寺、上人堂(尊光寺)などを巡り念仏を唱え、五穀豊穣、家内安全、交通安全、新型コロナ終息や、心を痛めているウクライナ情勢を思い世界平和を願った。

 期間中で集まった浄財は、日高川町社協、日本赤十字やユニセフ、難民を支援する国連UNHCR協会に寄付される。