アテモヤを手に左から奥野教授、井ノ上さん、文室さん

 御坊市名田町野島、農業井ノ上和彦さん(75)は8年前から取り組んでいる南国フルーツ「アテモヤ」の栽培が軌道に乗り始めた。3年前からは東京の果物店に出荷しているほか、先月には市のふるさと納税返礼品に登録。マンゴーやライチなども栽培しており、県内では珍しい熱帯果樹の生産が注目されている。

 アテモヤは世界三大美果とされる果物で、濃厚な甘さや食感、舌触りから「カスタードアップル」「森のアイスクリーム」とも呼ばれる高級果実。


 井ノ上さんは農業歴57年のベテランで、熱帯果樹協会、国際植物増殖者会議日本支部の会員。果物好きが高じ、「輸入品ではなく、自分で作って食べてみたい」という思いから、2014年から南国フルーツの栽培を始めた。現在は15㌃の温室ハウスにアテモヤのほか、バナナ、ライチ、マンゴーなど計15種類35品種以上を育てている。


 アテモヤ栽培については熱帯果樹の栽培に詳しい美浜町和田の文室政彦さん(68)らのアドバイスを受けながら栽培技術を研究。5年がかりで果実を実らせ、現在は約40本が植えられている。収穫期は11月から12月にかけてで、3年前は250個、昨年は350個が実った。今年は不作年となったが、150個程度の収穫を見込んでいるという。


 アテモヤのほか、ライチ、マンゴー、スターフルーツも順調に生育。今後はライチなども市のふるさと納税返礼品に申請していきたいという。


 熱帯果樹は体に良いとされる未知の成分が多いといわれ、和歌山高専生物応用化学科の奥野祥治教授(48)の協力で機能性についても調べる。


 井ノ上さんは「これからも栽培の研究を進め、採算が取れるようになったら地域に普及させて活性化につなげていきたい」と話している。