仁坂知事は9日の会見で、以前から検討を進めている県営射撃場(仮称)について県内の特定の候補地で整備の条件が整うめどがつき、大きく前進したことを明らかにした。

 県では野生鳥獣の農作物被害が高止まりする中、鳥獣捕獲数を増やして被害を軽減させることが必要であり、減少傾向にある銃猟者の新たな担い手確保も喫緊の課題と判断。さらに射撃技術向上や事故防止の研修が受けられる施設として、県内での射撃場整備を模索。整備に向けては①騒音や鉛害対策をしっかりしたうえでの適正な整備費②運営経費の県負担の抑制と運営主体の存在③市町村の積極的な協力と地元住民の理解――の3条件を設定し、候補地を絞り込んできた。しかし、候補地に挙がっていた湯浅町は2009年に用地不足、印南町は12年に地元住民合意が得られないなどの理由で白紙となった。

 今回の候補地については現時点での場所や予算規模などの公表は控えており、仁坂知事は「16年ぐらい前から進めてきた射撃場整備が、今度はうまくいきそうだ。整備の3条件はほぼ満たせるだろう。条件がクリアできれば数年以内にバタバタとできていき、鳥獣被害対策の切り札になる」と期待を込め、運営主体には地元猟友会が手を挙げていることも付け加えた。

 県農業環境・鳥獣害対策室によると、新知事の方針にもよるが、早ければ来年2月の当初議会で整備に向けた予算を計上。運営主体との契約や地元の合意、用地取得などを進めていく。現在、県内には猟銃のような大口径の銃を撃てる射撃場はない。建設用地は10㌶以上が必要とされ、工事期間は最低でも3年はかかるという。県内の銃猟者は12年現在で1600人いたが、21年現在は1300人に減少している。