新しく導入された血管撮影装置と大林脳神経外科部長

 御坊市のひだか病院は、血管の状態をリアルタイムで撮影しながら検査・治療を行う血管撮影装置(アンギオグラフィ)を新しく導入、今月から運用を開始した。鮮明な画像表示や2方向からの観察・撮影ができるなどの高精度の機能が搭載されており、検査時間の短縮や患者の負担軽減につながると期待されている。

 同院では2006年から約16年間使用してきた旧装置の老朽化に伴い、脳神経外科の大林慎始部長を委員長とした医療機器選定特別委員会を設置し、脳神経外科、循環器内科、放射線科、画像診断センターの医師らを中心に機種選定を行い、今年2月の指名競争入札でフィリップス社の「Azurion 7 B20」を導入することに決まった。落札額は1億2000万円(税抜き)。契約の相手方はセイコーメディカル株式会社(和歌山市)。設置に際し、心血管センター棟(今月から血管センター棟に改称予定)の血管撮影室の改修工事を行い、先月に納品が完了、今月3日から稼働している。

 血管撮影装置とは、カテーテルと呼ばれる細い管を動脈から目的の臓器まで誘導し、造影剤を注入して血管の状態を撮影するなどいわゆる「カテーテル治療」を行う装置のことで、脳卒中や心筋梗塞などさまざまな疾病の検査・治療に用いられる。今回導入した最新装置は正面・側面の2方向からの撮影が可能になったことが大きな特徴。通常約1時間かかる検査時間の短縮や造影剤の使用量を減らすことにもつながり、患者の負担軽減が期待される。また、今までの装置では、複雑な治療行為が必要となったとき、患者は和歌山市の県立医科大附属病院や日赤和歌山医療センターに転院せざるを得ない場合があったが、同院で検査から治療まで一貫して行える環境が整った。

 大林部長は「高精度の装置の導入で、診断から治療まで当院で行える環境ができたことは患者にとってメリットが大きい。血管撮影装置は現代医療にとって大切な機器なので、現場の医師にとっても非常にありがたいです」と話している。