亀山頂上の城跡を訪れた岡本氏

 生命保険最大手、日本生命保険の元社長で、現在は同社相談役を務める岡本圀衛(くにえ)氏(78)が10日、御坊市の亀山城跡や日高川町の手取城跡を訪れた。国宝探訪、歴史散策が趣味で、これまでに歩いた城跡等は1000カ所以上。和歌山県内最大規模の中世の山城、湯川氏の亀山城は「最も重要な防御に優れた選地で、かなりの軍事力だったのでは」と、実際に山を登って興奮ぎみに話していた。

 岡本氏は埼玉県出身で、東大法学部を卒業して日本生命に入社。取締役、常務、専務を経て2005年、第9代社長に就任した。11年からは会長、日本経済団体連合会副会長などを経て、現在はNEXCO東日本取締役会長、日本生命の相談役を務めている。

 趣味の城巡りは忙しい仕事の合間を縫って、城マニアの仲間とともに全国各地を訪問。これまでに訪れた城や城跡は1091カ所に上り、今回は中嶋徹和歌山支社長と広島県の仲間2人とともに、10日に和歌山市の太田城、日高川町の手取城、御坊市の亀山城、有田川町の湯浅城、11日には和歌山市の中野城、雑賀城、和歌山城などを訪ねた。

 御坊市の亀山城は地元の人の案内で高さ122㍍の頂上に登り、「海と川に囲まれた自然の地形を生かし、街道に面して平野を一望できる場所が素晴らしい」と、築城の際の選地のよさを指摘。「頂上の主郭部を取り囲む土塁や随所にみられる曲輪も防御の面で高度な構造で、規模の大きさからもかなりの軍事力を誇る詰めの城だったのでは」と推察し、秀吉の紀州攻めの際に最後の城主、第12代直春が城に火を放って熊野へ逃げた点については、「おそらくあまりに大きな秀吉の軍勢に、この城(亀山城)では戦えないという判断だったのだろう」と話した。

 岡本氏は今回、城や城跡だけでなく、日高川町の道成寺や和歌山市加太の淡島神社など神社仏閣も訪問。御坊では「やました」のせち焼き、和歌山市では人気のラーメン店へ立ち寄るなど、地元の人気グルメも楽しんだ。