温故知新は、孔子が残した言葉。「古くから伝わる教えを大切にして、新しい知識を得ることで、人にものを教えることができる師になれるだろう」。筆者が25年前に入社した当時から、「地方紙は地域のオピニオンリーダー(水先案内人)となれ」と教わり続けてきた。記者にとって温故知新は重要なキーワードだ◆本紙は1928年(昭和3)9月13日に創刊、本日付で94周年を迎える。創刊日を記念し、「わらじ」と親しまれた大見出しが一日限りで1面に復活した。わらじが登場したのは83年(昭和58)10月15日付から。当時編集長だった津村尚志会長が「インパクトのある紙面」と、昔は生活に欠かせなかったもので「長く継続して発展する」という強い思いを込めて生み出した。2003年(平成15)4月末まで20年間愛され、日高新報といえば「わらじ」といわれるほど定着したシンボルでもあった。懐かしんでいただければありがたい◆本紙を創刊した井上豊太郎氏は、真実と公平、言論の自由、在野精神を掲げた。94年経った今にも通じるテーマである。先人から脈々と受け継がれ、今を継ぐ筆者はというと、まだまだ努力と勉強が足りないと反省の日々◆津村周社長が掲げるのは「温故創新」。ふるきを学び直し、新しきを創造する。読者や地域の皆さんに育てられ、94周年を迎えることができた。地域を創造するオピニオンリーダーを目指し、地域とともに歩む決意を再認識する日にしたい。 (片)