B29搭乗兵の写真を手に古久保さん

 みなべ町の南部長寿大学7月講座が19日、社会福祉協議会はあと館で開かれ、学生40人が受講。講師に田辺市龍神村殿原、郷土史研究家の古久保健さん(85)を迎えて「『轟音』B29墜落の記」をテーマに聴いた。

 1945年5月5日、米軍爆撃機B29が日本の戦闘機との空中戦で殿原地区の西ノ谷に墜落。搭乗兵11人のうち7人が死亡、生存した4人は捕虜となり、3人が処刑され、1人は不明とされている。殿原の住民は終戦前にもかかわらず米兵を埋葬して供養する卒塔婆と十字架を建て、その年の6月9日に慰霊祭を執り行った。その後、惣大明神横に慰霊碑を建立。毎年慰霊祭を続けている。

 古久保さんは地元での慰霊の歴史や自身が子どもの頃にB29の墜落を目撃したこと、搭乗兵のトーマス・クロークさんの妹であるエリザベス・クロークさんを探し出してアメリカに会いにいき、「二度と戦争が起こらない世の中にしよう」と固い約束を交わしたことなどを紹介。B29搭乗兵11人の写真や父の軍隊手帳、戦時中の食料配給帳など貴重な史料も見せ、「みんなが平和の気持ちを持っていればロシアのウクライナ侵攻のようなことは起きないのだが…。戦争のない世の中になるよう、戦争のむなしさや遺族の悲しみを後世に伝えていこう」と語った。