「第6波の感染は再拡大している」と野㞍技監

 全国的に一時落ちつきつつあるとみられた新型コロナの第6波は、4月に入って再び拡大傾向にあり、県内でも徐々に感染者数が増加中。感染力の強い変異株への置き換わりが進んでいるのが要因で、国内ではさらに別の変異株も初確認されるなど、先の見えない闘いが続く。そんなコロナの現状や見通しについて、現場のトップとして指揮を執る野㞍孝子県福祉保健部技監(67)=御坊市=に話を聞いた。

 県内での第6波の感染者数は1月中旬から急拡大し、2月2日で過去最多の597人を記録。しばらく400人、500人台が続き、3月は100人台、200人台で推移していたが、3月下旬から増加傾向で、今月12日発表分は384人。この状態について「春休みや年度替わりの人の動く時期で、第6波の再拡大ととらえている」と指摘する。

 要因はオミクロン株からさらに感染力が強いBA・2への置き換わりが進んでいるためとし、先月31日から今月5日まで和歌山市内で行われた検査では60人の陽性者のうち43人(73%)がBA・2の疑いがあるという。

 BA・2は和歌山市以外の県内にも広がっているとし、「御坊や有田などでもすでに確認されている。県内全体では今月いっぱいでほぼ全てがBA・2に置き換わるのではないか」との見通しを示す。そうなると心配されるのが、ゴールデンウイークをきっかけにした感染の大爆発だとし、一層の警戒を強める。

 国内では今月11日、BA・2より感染スピードが12・6%早いとされるオミクロンの変異株「XE」が初確認された。アメリカから入国した30代女性が成田空港の検疫所で陽性となり、その後の国立感染症研究所での遺伝子解析でXEと判明。ほかにもデルタクロンなど別の変異株もあり、「ウイルスは数カ月に一度変異しており、外国から入ってくるのはなかなか止めようがない。おそらく感染力が強いものに変異するため、正直、いつになったらコロナの脅威から安心できるようになるのか読めない。コロナも風邪やインフルエンザのような扱いになればいいが、まだまだ致死率が高く、特効薬もないため、そうはいかない」と話す。

 感染予防で重要なのはマスク着用、消毒、密の回避など基本的な対策の徹底で、ワクチン3回目接種の有効性も強調。第6波では3回目接種率が増えるにつれて感染者数が減少傾向になったとし、「接種率が低い若い世代にも打ってほしい。自分は大丈夫でも人にうつす可能性があることを理解していただきたい。特に集団にウイルスを持ち込むのが危険。病院では基礎疾患を持った人もおり、重症化のリスクが高い。みんなのことを考えてワクチンを」と訴える。