パッケージバッグを手に古野さん㊧

 御坊市塩屋町南塩屋出身で東京から昨年ふるさとに戻った古野裕美子さん(50)が、家業で創業60年以上になる「ヤマトクリーニング」のノウハウと地元顧客を大切にしてきた理念を継承し、新たにヤマトスタイルズ株式会社を設立。衣替えを対象にした衣類・布団クローゼットの収納整理支援サービス「クローゼットケア」を始めた。市の特定創業支援等事業や移住支援事業補助金を活用。「都会と田舎の架け橋になって地域活性化につなげたい」と張り切っている。

 サービスは面倒な衣替え時の負担軽減を目的に、全国から宅配便で受注した衣類や寝具をクリーニングしたうえで、適切に管理して希望の期間(1~6カ月)お預かり。保管期間終了後、そのままクローゼットに入れるだけでいい包装で返却する。シーズンオフにかさ張る衣類をバッグに詰めて丸投げしてもらい、クローゼットの中をさっぱりさせるとともに、オシャレに演出するため好みのハンガーで返却。寝具も圧縮して返却するため、収納スペースを年中スッキリ整理できる。

 古野さんは、臨床検査技師を経て医薬品や医療機器の会社で臨床開発の仕事に従事。15年ほど前から東京で暮らし、仕事と家事・育児を両立させる中、シーズンごとの衣替えに感じたストレスと実家のクリーニング業をきっかけに、サービスを発案、起業を考えた。都会に憧れて出て行ったが、ふるさとが好きで休みのたび帰省するうち、夫清紘さん(42)も御坊を気に入り、さみしくなる田舎を元気にし、笑い合える場をつくりたいと決意。県の「わかやま地域課題解決型起業支援補助金」を受けたことで、東京圏から転入する人が対象の御坊市の移住支援事業補助金の要件を満たした。市の補助金は2019年度の創設後初の認定となる。

 メニュー例は点数上限なしの詰め放題パッケージM(縦46㌢・横66㌢・奥行22㌢の船底形バッグ)1万8000円。地元顧客の持ち込みは1500円の値引きがある。今後SやLも追加。ヤマトクリーニングが行ってきた従来の業務も実施するほか、地元顧客に向けた布団クリーニング圧縮サービスにも力を入れていく。

 同社はSDGs(持続可能な開発目標)を企業行動・経営戦略につなげ、顧客とともに持続可能な社会の実現に貢献。使い捨てハンガーの使用や返却時の過剰包装は行わず、海に、自然に優しく衣類を洗う。古野さんが代表取締役を務め、夫の清紘さんはマーケティングを担当。姉の安永葉子さん、父の吉川洋一さん(80)も勤める。都市圏の顧客にクリーニング品を返却する際には、市の観光パンフレットやふるさと納税案内の同封も検討しており、古野さんは「小さいところからのスタートですが、全国に名前が知られるぐらい大きく成長させたい。そのためにまずPR。ふるさとに貢献したいという一番の目標をブラさずやっていきます」と話している。

 問い合わせは、同社HP(https://www.yamatostyles.com 「クローゼットケア ヤマトスタイルズ」で検索)内のメールで。