川西さん㊧からウスイの話を聞くギヨーム料理長

 ミシュランガイド東京2022で1つ星を獲得したフレンチレストラン、フォーシーズンズホテル東京大手町「est」の料理長、ギヨーム・ブラカヴァル氏(41)とパティシエのミケーレ・アッバテマルコ氏(42)が5、6の2日間、和歌山産食材を探しに来県。6日にはみなべ町特産のウスイエンドウ栽培園地を訪ね、生や焼きウスイを試食し、「アイデアが湧いてくる、ぜひ使いたい」と太鼓判を押した。

 県産食材のブランド力向上と活用促進を図ろうと、外食業界で知名度が高く影響力のある有名シェフを招いている県の事業。今年度はestのトップシェフ2人を招き、初日は紀の川市の熊野牛や御坊市の金山寺味噌、2日目はみなべ町のほか田辺市のかんきつの園地を回った。

 パリの三ツ星レストランなどで腕を磨いてきたギヨーム料理長は来日して10年。日本各地を自ら歩いて取り寄せた最上の食材を使い、フレンチの伝統的なテクニックと和食の繊細な調理方法を融合させた独自の世界観あふれる料理を提供しており、ミケーレ氏も選び抜いた食材で芸術性あふれるデザート等を生み出している。estの食材の90%は国内で調達。すでに和歌山県産の熊野牛、フルーツを使っているという。

 みなべ町山内でウスイを栽培している川西省吾さん(54)のほ場には、県職員らと一緒に訪問した。川西さんは土づくりにこだわるグループ「匠の郷紀州」のメンバーでもあり、2カ月かけて太陽熱で土壌消毒していることや、化学肥料を一切使わない有機栽培で育てていることを説明。品種は「紀州ウスイ」で、「自慢の甘さと風味を感じてほしい」などと魅力をアピールした。

 2人は実を生で食べたり、その場で焼いて口にし、「小さい実の方が甘味が強い」「焼いても柔らかくておいしい」と絶賛。ウスイを使った料理はまだ提供したことはないが、ギヨーム料理長は「サクラマス料理の添え付けに使ったり、甘味があるのでキャビアやウニとも相性がよさそう。ブイヨンとしても利用できそうで、いろんなアイデアが浮かんでくる」とイメージを膨らませ、「今年は間に合わないかもしれないが、来年にはぜひウスイを使った料理を提供したい。和歌山にはいい食材がたくさんある。これからもお付き合いしていきたい」と笑顔いっぱい。ミケーレさんも「ウスイは甘味があって、デザートでも使えそうです」と話していた。

 川西さんは「日本人にはない感覚で料理に使ってもらいたい」と期待していたい。