写真=苗を引き渡しは6月1日から

 郷土山菜のイタドリ(別名ゴンパチ)の栽培や商品開発に取り組む地域が増えている。県林業試験場(上富田町)は2019年に優良系統苗として「東牟婁3」を選抜し、2年前から日高川町高津尾のバイオセンター中津で育てた苗を販売。今年は20日から電話予約を開始する。イタドリを食用とする習慣は全国的には少なく、苗の販売は珍しいという。

 東牟婁3は県林業試験場が県内9地域から集めたイタドリの中から栽培や加工に適した優良系統苗に選抜され、▽若芽の発生時期が早い▽太くて収穫量が多い▽加工時に皮が剥きやすい――などの特徴がある。

 今年の苗販売は、バイオセンター中津で昨年秋から増殖して育てた約4000株。販売はトレー(60株入り)単位とし、価格は1トレー3000円(税込み)。1苗当たりの価格は50円となるが、10苗などの少量販売は行わない。受け渡しは6月1日から。初めて販売した昨年は3500株が完売し、電話予約ができない人が出るほどの人気だった。販売予約はバイオセンター中津℡0738540095、栽培・植え付けの問い合わせは林業試験場℡0739472468。

 イタドリの加工商品では日高川町美山地域の「ごんちゃん漬け」が有名。全国的には紀伊半島や高知県などでイタドリが食用とされているが、その他の地域で食べられることは少ない。

 栽培は毎年作付けする必要がなく、植え付け後の手間も少ないため、2、3年前から遊休地や耕作放棄の活用する生産者が増えているという。近年は皮や花、葉、若芽などを活用したドレッシングやお茶、焼き菓子などが商品化されている。