美浜町三尾のカナダミュージアム(三尾たかえ館長)で24日、京都外国語大学(京都市)の学生らによる〝リモート視察〟が行われた。地域のカナダ移民の歴史を後世に伝えようと、町の地方創生事業として移民にゆかりのある近代の洋風住宅の古民家を改修して整備された施設には、当時の生活や文化をうかがわせるさまざまな展示品があり、学生たちはコロナ禍で実際の訪問がかなわない中、パソコンの画面を通して移民について学んだ。

 リモート視察を行ったのは、京都外国語大の河上ゼミの学生が中心。同ゼミ生はここ数年、年に数回、移民の歴史や地方創生についての現地調査を目的に美浜町へ来ているが、今年は新型コロナウイルスの影響で訪問がかなわず、施設では新たな試みで学生に対応することにした。

 ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」で、施設と学生、教員の自宅などを中継。三尾館長が案内、説明役を務め、東京大学を休学して昨年8月から三尾に〝留学中〟の岩永淳志さん(21)=武蔵野市=がスマートフォンのカメラ機能を使って建物や施設内の展示品を撮影、学生らがパソコンの画面で現場の様子を見られるようにサポートした。

 三尾館長は「この機会に三尾、カナダミュージアムに興味を持っていただければうれしい」とあいさつ。施設オープンの経緯、建物の歴史などを説明し、「移民の人たちは現地でサケ漁に従事していた」などと話した。岩永さんは施設の外観、庭、100年以上前の製品でカナダから持ち帰られたというミシン、衣類などを撮影し、学生たちはそれぞれ三尾さんの解説で当時の生活や文化へ理解を深めていった。

 最後に移民に関する3択クイズも出題され、学生たちは熱心に解答を考えていた。

 今回の取り組みには和歌山大学と同志社大学の学生らも視聴のみで加わり、全員で41人が参加した。

写真=パソコンの前で三尾館長が説明、岩永さんがスマホで施設内を撮影