他の車の走行を妨げる「あおり運転」を「妨害運転罪」として新たに規定する改正道路交通法が、30日から施行される。近年、あおり運転で発生した死傷事故が社会問題化するなか、悪質なドライバーが後を絶たない現状を受けた厳罰化。飲酒運転と同程度の罰則が初めて設けられた。

 対象となる行為は「車間距離不保持」「急ブレーキ」「割り込み運転」「幅寄せや蛇行運転」「不必要なクラクション」「危険な車線変更」「パッシング」「最低速度未満での走行」「違法な駐停車」「対向車線からの接近」の合わせて10類型を規定。通行を妨害する目的でこうした行為を繰り返し、交通の危険を生じさせる恐れがある場合をあおり運転として取り締まる。

 違反すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。高速道路で停車させたり衝突事故を発生させたり、著しい危険を生じさせた場合は、酒酔い運転と同じ5年以下の懲役または100万円以下の罰金。行政処分では違反すれば事故を起こしていなくても一回で即免許取り消しとなる。

 違反点数は25点で欠格期間2年、高速道路で著しい危険を生じさせた場合は35点で同3年。さらに、改正自動車運転処罰法でも、危険運転の適用範囲が拡大されており、改正道路交通法の行政処分に加え、他の車を妨害目的で停車させて人を死傷させる行為は、危険運転として刑事処分の対象になる。

 あおり運転をめぐっては2017年に神奈川の東名高速で、あおり運転を受けて停車したワゴン車が後続のトラックに追突され、一家4人が死傷。今月8日にも、埼玉県の国道で乗用車の前に割り込み、蛇行運転やモデルガンのような物を向けて進路をふさいで、急停車させた疑いで男が逮捕されるなど、全国で問題になっている。

 施行を前に御坊署もポスターで啓発。「車を運転する際は時間にゆとり、気持ちに思いやりを持ち、譲り合いの運転に努めてください。妨害運転を受けたときは交通事故に遭わない場所に避難するとともに、車外に出ることなく110番通報してください。また、ドライブレコーダーは運転行為が記録されることから、悪質・危険な運転行為の抑止に有効です」と呼びかけている。