JA紀州(芝光洋組合長)の主力品種、南高梅の収穫・出荷が24日からスタートした。今年は開花時期にミツバチの活動が弱かったことなどから数は過去10年で最も少ないものの、実の大きさはここ10年で最も大きく、病害虫被害も少なく品質抜群。新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす人が増え、梅シロップや梅酒、梅干し作りに需要も高まっており、日本一の梅の産地みなべ町では今後、梅作業一色となる。

 みなべ町東岩代、JA紀州みなべいなみ梅部会副部会長の 村勝利さん(47)は25日から同地内のパイロットにある園地で収穫作業を行った。実の熟度を考慮し、本格的な収穫は27日ごろから行うという。2㌶で栽培しており、青梅は2割ほど、残りは漬け梅で出荷している。「やはり今年は数が少ない。うちでは平年の半分ほど。満開時期にミツバチの活動がいつもより弱かったように感じる」と不作傾向なものの、例年より実太りは良好で、病害虫被害も少なく品質もいいという。青梅は6月中旬まで、以降は梅拾い作業が中心になる。「実がさらに大きくなるよう、もう一雨ほしい」と今後の天候に期待し、「新型コロナが青梅の販売にどれだけ影響があるのか心配しましたが、ステイホームで需要が高まっていると聞きました。梅シロップや梅酒、梅干し作りを家族みんなで楽しんでもらいたい」と話していた。

 JA紀州みなべ営農販売センターによると、主産地のみなべ町で約1200軒、印南町で約350軒の生産者が約2300㌶で栽培している。直前の着果調査では、みなべ町の南部・岩代地区で過去10年比「並み」で、ほかはすべての地区で「少ない」傾向。園地によって非常にばらつきがあるのが今年の特徴で、同じ園地でもよく着果している樹とほとんどなっていない樹があるという。同センターでは「果実肥大はいいので、27万ケースの出荷目標を達成できるように努めたい」と話した。

写真=東岩代の園地で収穫する廣村さん