ウメやサクラなどの木を食害する外来種のクビアカツヤカミキリ(カミキリムシ科)が全国的に発生していることを受け、日高地方の関係機関で組織するクビアカツヤカミキリ連絡会議が組織された。幼虫が木に入って内部を食い尽くすため、樹木を枯死させることがある。対策としては被害樹を早期発見し、伐採することなど。当地方ではいまのところ確認されていないが、特産の梅をはじめとした産業への影響が心配されている。

 成虫の大きさは3~4㌢で首回りの部分が赤いのが特徴で、全体的に黒く、光沢がある。中国、朝鮮半島、モンゴルなどに生息し、近年、海外からの建築用ペレットに混じって日本に侵入したと可能性があるという。2012年に愛知県で初めて見つかり、13年に埼玉県でも発見。15年には群馬県、東京都、大阪府、徳島県で相次いで確認された。ウメ、サクラ、モモのバラ科、コナラなどのブナ科の樹木が被害を受け、幼虫による食害で樹勢を弱らせ、枯死させてしまうこともある。県内でも17年7月、かつらぎ町で成虫のオス1匹が確認されている。徳島県ではモモ園の木が枯れるなど大きな被害を受けた事例もある。被害に遭った木の根元にフラス(木くずと幼虫のふんが混じったもの)を大量に発生させるのが特徴。

 連絡会議は3日、1市6町の行政、JA紀州、日高振興局などで結成され、すでに活動を開始。公園や学校などのサクラやウメなどを対象に管内84カ所で目視による発生調査を始めた。今後はチラシの配布や農業者の集会などを利用して情報の提供収集に努める。対策としては見つかった被害樹に対し、伐採や焼却、木の内部に薬剤の注入、ネットで覆って羽化する成虫の拡大を防ぐことなどがある。連絡会議では「成虫や木の根元にあるフラスを発見した場合は連絡をお願いします」と呼びかけている。連絡先は県うめ研究所℡0739―74―3780、日高振興局農業水産振興課℡0738―24―2930、最寄りのJA紀州や市町まで。

写真=首回りが赤いのが特徴の成虫