海南市藤白にある梅酒等のメーカー、中野BC㈱(中野幸治代表取締役社長)はみなべ町にある県果樹試験場うめ研究所との3年間の共同研究を経て、ウメの新品種「露茜」を原料としたシロップ「つゆあかね」を開発した。果皮だけでなく果肉まで赤い露茜の特徴を生かし、疲れ目の改善等に効果があるといわれるアントシアニンをたっぷり含んだルビー色。16日から販売する。
 みなべ町で南高、古城に続く産地化が期待される「露茜」は、茨城県つくば市の国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発。スモモの「笠原巴旦杏(かさはらはたんきょう)」とウメの「養青(ようせい)」を掛け合わせ、果皮と果肉が赤く、梅酒や梅ジュースの加工品も赤く仕上がる梅として、平成21年2月に品種登録された。
 うめ研究所は同年から23年にかけての近畿大学との共同研究により開発した着色促進技術を露茜の果実に適用、アントシアニンの量を増やし、着色程度を高めることに成功。今回のシロップは、中野BCとうめ研究所が25年度から3カ年の「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」として共同研究に取り組み、ウメ原料100%の赤色飲料として商品化にこぎつけた。
 中野BCの研究担当者によると、商品開発には露茜の赤い色を最大限引き出す技術が最も苦労したという。果実を生のまま漬けたり、いったん冷凍してから漬け込んだり、さまざまな温度帯で試行錯誤した結果、自社の南高梅を原料としたシロップと比較して、アントシアニンの量が60倍、ジュエリー感あふれるルビー色の赤いシロップが完成した。シロップと冷水や炭酸水が1対4の割合のノンアルコールドリンク、かき氷、カクテルのアクセントとして楽しめる。
 12日には中野BCの中野社長が県庁に仁坂知事を訪ね、新商品の発売を報告する。