相模原市の知的障害者施設で利用者19人が刺殺された事件を受け、県は県指定障害福祉サービス事業等の運営法人に対し、防犯対策を含む安全管理の徹底を文書で通知。日高地方では最大規模の知的障害者支援施設、県福祉事業団の由良あかつき園(佐武政之園長)=由良町吹井=にも県などから通知があり、従来から実践している門扉や施設の施錠徹底、職員の危機意識向上に努めている。
 由良あかつき園は知的障害のある人が自立的に地域生活を送るための支援を行う施設で、食事や入浴の日常生活支援のほか、生産活動、余暇活動などを通じて生活面のスキルアップを支援。現在、施設で生活している入所者は定員いっぱいの140人。昼間の通所生活介護も定員いっぱいの150人で、さらに外部のグループホーム等から10人の利用がある。
 27日朝までに県と施設を運営する県福祉事業団、和歌山市の3者から安全管理徹底を求める通知があったが、防犯対策としての門扉の閉門、各棟建物の施錠、非常時の連絡体制の確認等はどれもすでに実施している。夜間は基本的に夜勤の職員(2人)が見回りも行っており、現時点で防犯カメラの設置や警備員の配置など新たな取り組みは考えていないという。
 入所者の平均年齢は48・3歳で、障害者福祉の分野では「高齢者」とみなす50歳に近づいている。事件のあと、利用者の家族から「本当に大丈夫ですか」という問い合わせが1件あった。
 佐武園長(57)は「警備員や職員がどの時点で犯行に気づくかがポイントだと思うが...」と話しながらも、元職員による異常な犯行にショックを隠しきれない様子。「福祉事業団の安全対策は比較的厳しく、普段は使用しない物置きや倉庫、屋外のトイレも夕方以降は施錠している。引き続き、これらの安全・防犯対策を徹底し、職員に対しても安全管理はもちろん、人権意識の向上、虐待防止のための研修、指導を行っていきたい」と話している。