テロ対策でバスジャックが発生した場合の対応を学ぼうと、御坊市に本社を置く御坊南海バス㈱(那須敏明代表)は27日、実際に犯人が乗っ取った観光バスを走らせての訓練を行った。高速乗り合いバスの運行開始に合わせた取り組みで県警と連携。犯人役の警察官が迫力満点の演技を披露するなか、社員らが的確に対応し、万一の事態に備えて初動体制を確認した。
 御坊南海バスの川﨑幸二さん(51)を運転手に、同社や県バス協会所属事業所の従業員ら約50人が人質となる乗客として参加。貸し切りの観光バス(定員60人)が発車しようとしたところ、刃物を持った男が乗り込み、川﨑さんらを脅してバスを乗っ取った。犯人は運転手と乗客を威嚇し続けながら、「出て行った嫁と子を連れてこい」と要求。バスは薗の本社前から日高川町のかわべ天文公園へ向かった。
 車内では川﨑さんらが乗客の安全を最優先に、犯人を刺激しないよう対応し、隙を見て外部へのSOS発信を実践。御坊営業所でバスとの連絡や110番通報を行い、警察が捜査車両で追跡、先導した。その後、天文公園近くのゲートボール場でバスを包囲。捜査員が説得し、犯人の身柄を確保した。
 御坊南海バスは8月上旬、和歌山―東京間で高速乗り合いバスの運行を開始予定。那須代表は「世界中で頻発するテロに対してバス業界も警戒する必要があり、対応マニュアルに基づき、日ごろから事業者の対応や連絡体制を周知徹底しているところ。県警と連携して実際に車両を使用した訓練は、万が一このような事態が発生した場合、乗務員や運行会社の初動体制についてできること、できないことが経験できて非常に有益。これからも日々安全安心なバス運行を目指したい」と話していた。