紀州日高漁業協同組合の組合員や地元女性らが去る22日、由良町戸津井と小引の海に群生する天然の海藻の一種「アカモク」の初の水揚げから加工、容器詰めまでを行った。近く本格販売する予定で、県内初の新産品として期待されている。
 24日に御坊市内の同組合本所で行われた港の朝市では、試食ブースも設けられ、多くの人が食べていたが、いずれも大好評となっていた。筆者も食べたところ、シャキシャキした食感に独特の粘りが後を引くおいしさ。はっきり言って味や香りはないが、それが逆にくせがなく、さまざまな料理に合うのだと思う。すでに神奈川県鎌倉などでは食用で売り出しており、めんつゆやポン酢をかけたり、うどんに乗せたり、玉子焼きに混ぜるなど、さまざまな料理方法がある。由良町のアカモクの女性関係者は「オリーブオイルとの相性もいい」と言っており、パスタなど女性をターゲットにした料理にも利用できそう。
 そんなアカモクで注目されているのは、味覚だけでなく栄養素。粘りの成分は「アルギン酸」や「フコイダン」で、免疫力を高めガンの抑制に効果があるとされる。さらに特筆すべきは、ミネラルの含有量。ワカメに比べてカリウムは13倍、カルシウムは2倍、マグネシウムは5倍、鉄と亜鉛は4倍、銅は3倍。アカモクはおいしい健康食品である。
 ただ、この成分データは京都府が調べたもの。できれば一度、由良町産のアカモクでもデータ分析しておけば、商品として販売する際にセールスポイントの一つにできるはず。将来有望な和歌山県初の新産品ということで、データ分析には行政のバックアップも期待したいところだ。(吉)