リオデジャネイロ五輪代表候補のバドミントン男子の2選手が違法カジノ店に出入りしていたことが分かり、五輪派遣が見送られた。ともに日本のエースで、21歳の桃田選手は金メダルが有力視されていただけに、ファンや関係者に与えたショックははかりしれない。
 2月には元プロ野球選手の清原和博が覚せい剤所持・使用で逮捕され、その騒ぎが収まる間もなく「またか」のスポーツ界の不祥事。巨人の選手の野球賭博も今回のバカラ賭博も、一連の行為が黙認されていた所属チームの環境に問題がある。
 人は仕事でも趣味でも、欲求が満たされると脳の神経回路にドーパミンという物質が分泌され、快楽を得る。ギャンブルの大当たりの瞬間にはこれが大量に分泌され、店内の音と光、動くキャラクターなどの演出効果によって快感が何倍にも大きくなる。
 作家で精神科医の帚木蓬生さんによると、賭け事も続けていればごくまれに驚くほどの大勝ちがあるが、年間のトータルの損得を考えればマイナスの方が大きい。それに気づいてやめられれば救いはあるが、リーチアクションなど射幸心をあおる巧みな仕掛けによって「自分の技で大当たりを仕留めた」と錯覚させられ、やがて損得勘定のブレーキがきかなくなってしまうのだという。
 かつての大相撲の力士やプロ野球選手の野球賭博も、入門、入団時から周りの先輩が当たり前にやり、師匠や監督も黙認しているとなれば、むしろそれに手を出さない方がおかしい。今回のカジノ通いも問題は個々の選手の資質ではなく、賭博になんら罪悪感を感じないでたらめなチーム環境にあったのではないか。賭博依存症は、だれもが陥る可能性があり、チーム、会社を腐らせる。(静)