みなべ町の西岩代八幡神社で秋祭りに奉納される獅子舞が先月に県無形民俗文化財に指定されたことを受け、10日に同社で奉告祭が行われた。境内で神事のあと、獅子舞を奉納。西岩代伝統芸能保存会の赤坂敏夫会長は「これまでにも世界遺産の熊野三山や高齢者施設など各方面で披露してきた。獅子舞を通じて、地域の活性化ができればと思う」と述べた。
 西岩代の獅子舞の起源は明らかでないが、元禄年間(1688~1704年)以前は木製の獅子頭で、現在とはまったく異なる獅子舞だったと推測されている。18世紀中頃から19世紀初頭にかけて日高地方で伊勢大神楽が流行した影響を受け、紙製の獅子頭になったといわれる。舞は神前の四隅・八方を祓い清める「道中」、五穀豊穣を祈る「高い山」、鬼に呑まされた御神酒で酔っ払った獅子が荒ぶる「残獅子」など6曲から構成。各曲の中にも型があり、静と動のメリハリ、剛と柔の抑揚も併せ持っている。これまで町の無形民俗文化財となっていたが、先月15日に開かれた県教育委員会定例会で県の無形民俗文化財にもなった。同社ではこのほか、秋祭りに奉納される子踊り、祭礼時に使われる回舞台(長床)も県指定文化財となっている。
 奉告祭では亀井隆行権禰宜(ごんねぎ)が神事を執り行い、神に奉告。続いて青年らが笛太鼓の音色に合わせて獅子舞を奉納した。赤坂会長は「これまで熊野三山や京都の神社、老人ホームで披露し、西岩代の獅子舞が各方面に知られるようになった。今後は地域の活性化にもつなげていきたい」とあいさつした。同保存会の中井誠代表理事は「梅の郷救助隊の尾崎剛通隊長が当会の副会長。救助隊は東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市などと交流があるので、今後は被災地でも獅子舞を披露していきたい。子や孫の代まで継承していけるように努めていきたい」と話している。