先日、テレビで「マジック世界一決定戦キングオブマジック」という番組が放送された。「見た」という読者の方もおられると思うが、世界の一流マジシャンの手品が披露された。一瞬にしてトランプのカードが変化したり、瞬間的に衣装が変わったりと日常では考えられないことの連続。見ている者にとっては不思議の世界に迷い込んような感覚で、ただただ呆気にとられるだけだった。
 もちろん手品にはタネがある。インターネットで検索してみると、タネが明かされている手品もあり、不思議に思っていたことでもタネが分かれば「な~んだ。そういうことだったのか」とモヤモヤした気持ちが解消される。中には人間の固定観念や思い込みなどを利用しているような手品もあり、1つの方向からしか見ていなかったということにも気付かされる。
 以前、年上の人から「物事を考える時は多面的に見る必要がある」と指摘されたことがある。いろんな角度から観察したり、考えたりすることで見方は変わる。解決できずに息詰まっていたことでも視点を変化させることでスムーズに進む場合もある。
 行政の課題解決や産業振興などでも同じ。当地方では人口の減少、少子高齢化、農産物の価格低下などさまざまな問題が山積する。それらに対しても固定観念にとらわれず自由な発想で新しいアイデアを生み出すことで、飛躍的な成果が出ることもあるのではないか。いままで取り組んできた事柄で成果が出ないという時は、違った方向から考えてみるのも1つの方法だ。マジックのように、瞬時に変化するようなタネが見つかるかもしれない。(雄)