由良町は長年交流のある岐阜県美濃加茂市と連携して、新年度から「魚介酒かす漬け開発事業」を進める。国の地方創生加速化交付金300万円を活用した事業で、同町の新鮮な魚と同市の酒かすをコラボレーションさせた新たな産品を研究、開発して、漁業振興などにつなげたい考え。国内産の魚を使った酒かす漬けは珍しく、完成すれば注目を集めそうだ。
 由良町興国寺の山川宗玄住職が、美濃加茂市の正眼寺の住職を兼務している縁で、両市町は十数年前からイベントに相互参加するなど交流を続けている。そんな中、由良町では以前から新鮮な魚が名物となっており、美濃加茂市では日本酒の製造が盛んで、酒かすの有効活用を模索していたこともあって、今回、魚介の酒かす漬けという新産品の研究、開発に取り組んでいくことになった。国内では、魚の加工品として味噌で漬けた西京漬けが有名。酒かす漬けはノルウェーなど外国産の魚を使った商品はすでにあるが、国内産の新鮮な魚を使った例は少なく、由良と美濃加茂のコラボ商品ができれば、ブランド化も図れると期待されている。
 町は地方創生加速化交付金の300万円を新年度当初議会で可決された平成27年度補正予算に計上。団体への補助金として活用する方針で、今後は町内の関係機関に呼びかけてまず事業主体となる団体の構成などを協議し、新産品の開発を推進。製造、販売方法なども検討していきたい考え。担当課では「新産品の開発を通じて産業振興に向けて関係者の機運を盛り上げたい。28年度中には、試作品が出来ればいいなと思っている」と話している。畑中雅央町長は産業振興の公約で新産品開発に意欲をみせており、「安定的な生産量を確保するためには、漁協が養殖しているタイを使うのも手かもしれない」と話している。
 総額1000億円規模の地方創生加速化交付金は、ことし1月20日、国の27年度補正予算として成立。市町村の創意工夫が発揮しやすく、非常に使い勝手のよい補助金とされるが、申請締め切りが2月上旬までとなっていたこともあって、「時間が足りない」「新事業の立案が難しい」などで申請を見送った自治体もある。