由良町議会総務文教常任委員会(山名実委員長)が15日に開かれ、執行部から5年ぶりに行った町内空き家の実態調査の結果で報告があった。それによると366軒で、前回調査比3割増。周辺町と比べて多い状況で、同町の人口減少などが影響しているとみられるが、逆に定住促進や企業誘致などへ活用できる空き家が多くあることをチャンスととらえ、今月下旬から所有者に賃貸などの意向調査をスタートさせる。
 同町の人口は平成27年国勢調査(速報値)によると、5839人。22年の前回調査に比べ669人の減少で、減少率10・28%は県内ワースト5。空き屋軒数については、隣接する日高町が現在実態調査を行っているが、約200軒と推定。日高川町も昨年9月時点で約200軒としている。
 由良町の空き家は22年調査で276軒。今回の実態調査は、担当職員が昨年10、11月に地元区長らの協力を得て建物を目で確認して行い、集計。366軒で、前回比90軒の増加となった。この5年間で、空き家が更地になったり、倉庫や駐車場に利用したりして活用されているところもあったが、そのペースを上回るほど、新たな空き家が増えていると言える。
 内訳は、居住可が254軒、利用可(旧店舗等)が8軒で、合わせて活用できる空き家は262軒。ほか危険状態は34軒、居住できるかどうか不明は18軒、明らかに居住不可は52軒だった。活用できる空き家については、今月下旬から来月にかけて、所有者に賃貸の意向があるかどうかなどのアンケート調査を実施。町では、県の空き家バンクに登録するほか、総合戦略に基づき空き家を定住促進やサテライト・オフィスの企業誘致などで活用する計画を推進していく。
 担当課は「由良の人口減少は将来的に下げ止まりするとの推計もあり、これ以上空き家が増えるのかどうかは分からないが、有効活用を進めたい」と話している。日高川町や美浜町で行い、新年度から日高町も導入する空き家の解体補助は「個人の財産に税金を投入するのはどうかということもあり、現時点では考えていない」と説明している。