すっかり定着したふるさと納税について詳しい説明はいらないと思うが、出身地や応援したい自治体に寄付するというのが本来の趣旨。これをうまく利用して寄付した人に高価な返礼品を用意することで、年間億単位の税収を得ている自治体がある。筆者としては、税収が増えてその自治体のPRにもつながるし、寄付する側にとってもお得な話となるので、これはこれでいいと思う。日高地方でもみなべ町が梅干しや備長炭、日高町がクエ鍋セットを用意するなど、積極的に取り組んでいるところもある。こういった返礼品を用意することは、地元商店や産業の振興にもつながっているとも言える。
 ただ、確かに返礼品目当ての寄付が増える一方で、本来住民税が納められるはずの自治体に税金が入らないという事態が起きてくる。そこは豪華な返礼品を用意している自治体の総意工夫と営業努力に見習い、他の自治体も頑張ればいいという声もあるが、果たして地域間で競争して税金を奪い合いするようなものなのか。
 現行法によると、国からの地方交付税は、ふるさと納税の額に伴う加算、減算はない。つまり、ふるさと納税がどれだけ増えても交付税をカットされることはなく、ふるさと納税分がまるまるもらい得。そこで由良町が日高郡町村会を通じて国の納税制度の見直しを要望。地方交付税で自治体間の財政調整を行うよう求めていく。簡単に言えばふるさと納税がたくさんある自治体の交付税を減らすということで、「返礼品が華美にならないように」という国の指針に従って豪華な返礼品を控えている自治体もある中、交付税の仕組みから見て国は一考すべきではないだろうか。  (吉)