放送大学和歌山学習センターのフィールドワーク「御坊市寺内町探訪~発酵の食文化」が11日に行われ、案内役を務めた市文化財保護審議会の大谷春雄さんらが考案した「寺内町御膳」が初めて振る舞われた。なれ寿司、茶がゆ、大谷家に伝わる神前甘酒など、御坊ならではのおもてなしは参加者に大好評。大谷さんは「これからも年に何度か計画できれば」と寺内町観光の活性化に一役買いたいとしている。
 寺内町御膳は、放送大学和歌山学習センターの非常勤講師も務める大谷さんが中心となって、「御坊でしか味わえない昼食を振る舞いたい」と企画。松原通りの浄土真宗本願寺派「天性寺」の津本京子さんと津本千恵さん、御坊商工会議所の地域活性化・観光振興委員会等に協力してもらい、今回初披露された。
 内容は、早なれ寿司、巻き寿司、径山寺味噌、甘辛炊き日高コンニャク、津本さん手作りの胡麻豆腐と紀州茶がゆ、大谷家特製の甘酒。いずれも御坊日高の食材にこだわった。昼食として天性寺で提供され、放送大学の学生や講師ら24人が1品ずつじっくり味わいながら舌鼓を打った。香川県から参加の70代女性は「どれもとってもおいしかった。ハンバーグなどどこでも食べられるものではなく、御坊でしか味わえないところがいい。素朴な味は御坊の雰囲気とマッチしていた。寺内町も落ち着いていて好きになったので、また友達とゆっくり遊びにきたい」と御膳も御坊のまちも絶賛。御坊商工会議所の川瀬和男、阪本仁志両副会頭、地域活性化・観光推進委員会の柚瀬清会長の3人も参加。柚瀬会長は「寺内町の観光客をもてなす食を提供していくための一歩になった」と今後のさらなる発展に期待を込めた。
 同和歌山学習センター講師として参加し、地域活性化・観光推進委員会のアドバイザーも務める鈴木裕範・和歌山大学客員教授は「食は観光のキーワードの一つ。このような伝統の食文化を生かして寺内町観光に結び付けていってほしい」と期待を寄せ、大谷さんは「手間がかかるので常時提供するのは難しいが、年に数回でもこのような企画ができれば、観光振興にもつながるし食の魅力のPRにもなるので、これから考えていきたい」と話していた。放送大学生はこの日、日高別院や堀河屋野村などを見学したほか、御坊商議所の佐藤公昭専務から講話も聞いた。