新しい地域活性化イベントとして注目度が高まっている御博(おんぱく)。和歌山県では初開催となるみやこひめ御博が、いよいよ今月24日から開幕する。11月22日までの30日間、日高地方の住民や団体が32の体験型プログラムを提供する催しで、住民が主役となる手作りイベント。企画、行動している実行委員会のメンバーは20~40代の若者が中心で、誰かにやらされているのではなく、自分たちで動いているところが素晴らしい。このパワーこそが地域活性化の原動力である。
 筆者が10年近く前に担当していた印南町は当時、地域おこしをしようと熱心に取り組む住民有志のグループがあり、よく取材をさせてもらった。交流人口を増やそうと、さまざまな体験イベントを企画、実行し、同じ地名の兵庫県稲美町の住民グループと民間同士の交流を深めるなど輪を広げていったのが思い出される。当時は行政も積極的で、ワークショップを重ねてさまざまな魅力的な活性化プログラムも作成したまではよかったが、「誰が実行するの」に行きつき、せっかく作ったメニューもなかなか実践できなかったことを思い出す。
 当時、住民有志の中心的存在で、魅力あふれるアイデアを提案、実行していた人が、「まちづくりは、人づくり」としきりに言っていたのが忘れられない。声(肥)をかけることから始まり、人はやる気(木)になる。その木が広がれば林になり、やがて森になると。その人は昨年末に他界してしまったが、人こそが地域の魅力だと教えていただいた。みやこひめ御博で地域おこしをしようとする若い力を、あの人は天国から目を細めて見つめていることだろう。(片)