印南祭を皮切りに日高地方最大の御坊祭と、御坊日高は秋祭りシーズンに突入した。祭り好きの多いこの地方では1年で最もまちが活気に包まれる時期でもある。それはまさに地域のパワー、活力、底力であり、この団結力はほかではなかなか真似できないほどの力がある。四十路の筆者もいい年をしてと言われながらも毎年印南祭に参加して、少しは地域の活力に貢献しているつもり。ことしも印南川に入ってわいわい楽しませてもらった。子どもたちと顔見知りになり、中高生は何のクラブに打ち込み、若者はどこで働いているなど、地域の情報が手に取るようにわかる。地域の希薄化がいわれる中、地域コミュニティーの中心的な役割を果たしてくれるのも祭りの魅力の一つだろう。
 一方、いつも感じることだが、少子化が進み地元を離れて就職している人も多く、祭りに参加する人自体が年々少なくなっているという問題が近年は顕著だ。このままでは10年後、20年後に自分の地区は祭りに参加できるのだろうか、そんな心配を抱えているところも多いのではないか。屋台や四ツ太鼓を担ぐ若衆も若者が少なく、年齢増は年々上がっている、そんな声を聞いていると、日本が抱える問題を身近に感じてしまう。
 国が抱える課題はさておき、地域に脈々と引き継がれてきたこの素晴らしき伝統文化はやはり、これからも後世に残していくべきもの。それには一人でも多くの人が祭りに参加、かかわることしかないだろう。人がなければ何も成り立たない。とくに祭りの準備や進行の中心となる若衆や青年団員は祭り前後は多忙を極める。各事業所は、祭り休暇は地域貢献と位置付け、寛大であることを願いたい。 (片)