第2回御坊市まち・ひと・しごと創生総合戦略会議が2日に市役所で開かれ、人口ビジョン案が初めて示された。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計では、2060年に市の人口は1万4399人になるとされているが、市では1万8781人を目標値に設定することを決めた。目標達成のため、若者層の流出抑制と子育て環境の充実等を重点にしていくことも確認し、今後は具体的な施策の策定を進めていく。
 日本の総人口は社人研の推計で2060年に8674万人とされ、国では安定した雇用の創出などの総合戦略を立てて人口1億人程度を確保することを掲げている。和歌山県が策定した人口ビジョンと創生総合戦略では、このまま何も対策を取らなければ社人研推計で2060年には人口52・5万人とされていることに対し、70・3万人を目標に設定している。これらを受け、各自治体では独自の人口ビジョンと総合戦略を本年度中に策定することにしている。
 今回の御坊市での会議では、6月の第1回会議以降に高校生500人と市への転入者1000人に行ったアンケート調査、若者や女性へのヒアリング結果などを参考に将来展望人口を算出。合計特殊出生率が2060年までに、理想の子どもの人数2・28人(アンケート調査結果)まで上昇し、若者層(10~39歳)の移動についても社人研推計より市に戻ってくる・入ってくる人が増えると想定して人口推計を行った結果、2060年に1万8781人を導き出した。
 この人口ビジョンと合わせて策定する総合戦略の基本目標案も示され、「安定した雇用を創出する」「若者がとどまりたくなる、戻りたくなる環境を形成する」「安心して結婚・出産・子育てできる環境を形成する」「安全・安心な暮らしを守るとともに地域で支え合う暮らしやすいまちをつくる」の4つにすることも確認した。若者層が就職時に戻ってこられる環境を形成するための仕事の創出、安心して子どもを産み育てられる環境を作っていくことを主な重点とし、今後は11月の第3回会議までに具体策を検討していく。
 委員からは「目標達成は並大抵のことではない。危機感を持ってやっていく必要がある」などの意見があり、アドバイザーの鈴木裕範・和歌山大学客員教授は「この高いハードルをどう越えていくか、具体的な戦略に皆さんの意見をいただいていきたい」とした。