バスケットボールには「ブザービーター」と呼ばれる劇的なショットがあるそうだ。ピリオドや試合終了の直前に放たれ、ボールが空中にある間に残り時間がゼロとなり、ゴールに入るショットのことを指すという。その劇的なゴールで勝敗が決する場合もある。野球では「サヨナラ」が同様に記憶に残るシーンといえるだろう。
 先日の県高校総体ホッケー男子の部最終戦は、それらの決着に負けず劣らずの劇的な幕切れだった。紀央館はこの試合、引き分けなら得失点差で箕島に及ばずインターハイ切符に手が届かない。前半2分に先制、後半に入って追いつかれるも11分に再び突き放す。試合終了5分前ごろに再び同点とされたが、33分に三たびのリード。34分過ぎに自陣サークル内でファウルがあり、ペナルティーコーナーとなった場面で試合終了のホーンが鳴った。
 後日、関係者に詳しく話を聞くと、ホーンが鳴っても直前に反則があったためプレーが続行。再開後はオフェンスが反則、得点、ボールが5㍍ラインを出るなどの場合に試合が終わる。守備の紀央館側からすればとにかく相手の攻撃を凌ぎきれば勝利、インターハイ切符を獲得できた。守備側が反則すると試合終了時間が過ぎていてももう一度、PCから再開となり、守備側は難しい判断を瞬時にしながらプレーしなければならない厳しい局面だったようだ。
 紀央館男子は既報の通りPCからゴールを決められ、惜しくも準優勝となった。選手たちには悔しい引き分けだったと思うが、終盤の驚異的な粘りは本当に素晴らしかった。ブザービーターやサヨナラ決着と同じように観客を魅了する好ゲームを繰り広げた選手たち。あらためて健闘をたたえたい。    (賀)