日高、西牟婁、東牟婁の3振興局が紀州熊野の観光PR事業の一環として、紀中・紀南地方の不思議な伝説や妖怪の伝承を集めたガイドブック「癒しの国の妖しのものがたり」を発行した。日高地方の関係では道成寺の安珍清姫で有名な清姫、小栗判官の妻の照手姫(てるてひめ)ら3人の女性の物語が紹介されており、由良町の興国寺に伝わる天狗の伝説も掲載。日高振興局や各市町役場観光担当課等で配布している。
 ガイドブックは地域の新たな魅力を発掘し、観光客の増加と周遊エリアの拡大を目的に、3振興局合同の平成26年度政策コンペ事業「癒しの国の妖しの物語~熊野への聖地巡礼~」として作製。▽妖しの女性の物語▽地域の妖怪▽伝説▽妖しマップ▽観光モデルコース――に分かれ、女性の物語では安珍を追いかける途中、大蛇に化けて日高川を渡ったという「純愛の化身」の清姫、小栗判官とともに熊野への旅の途中、印南町印南の東光寺に立ち寄ったという照手姫などが特集で紹介されている。
 このほか、女性の物語では美浜町三尾の弁天島(海猫島)で美白を願い、ウミネコの糞を浴び続けるうち命を落としたという「弁天島の乙女」の伝説を掲載。地域の伝説では、1月の天狗まつりや8月の火祭りで知られる興国寺の天狗の物語も登場する。
 巻末には興国寺の天狗からスタートして道成寺の清姫、田辺市の猩々(しょうじょう=天神崎)などを巡り、田辺市龍神村殿原の安倍晴明(安倍晴明神社)がゴールとなる清姫コース、すさみ町の牛鬼(琴の滝)から串本町のいしなげんじょ(荒船海岸)などを回って照手姫(本宮町の湯の峰温泉)がゴールとなる照手姫コースの観光モデルコースも。日高振興局企画産業課は「紀州熊野には伝説や民話、不思議な物語がたくさん伝わっています。このガイドブックを手に、妖しの物語に耳を傾け、心のゆとりを取り戻す旅に出かけてみませんか」と呼びかけている。
 8000部作り、同課や各市町観光協会事務局、日高川町の道の駅SanPin中津、由良町の道の駅白崎海洋公園などで無料配布している。