イギリスのエコノミスト紙が発表した「世界の安全な都市ランキング」によると、日本の東京が1位だった。国内では大阪も3位。2位はシンガポール、4位はストックホルム(スウェーデン)、5位はアムステルダム(オランダ)。そのほか主な都市は、ニューヨークが10位、香港が11位、台北が13位だった。
 順位は暴力事件の件数や犯罪対策を評価する「個人の安全性」のほか、個人情報の盗難などの「サイバーセキュリティ」「医療・健康環境の安全」などを総合的に評価している。日本は世界的にみてよく「安全な国」といわれるが、データとしても示された形。
 都心の東京や大阪よりも地方の方が犯罪率に関しては低いだろう。日高地方でも山間部の方に行くと、地域の人々の大半が顔見知りで、出かける時も施錠しない家庭も多いのではないだろうか。それだけ治安が良いということになる。しかし、近年では凶悪犯罪が増加。全国的に殺人事件が後を絶たないし、県内でも先月5日に紀の川市で小学5年生の男児が刃物で切り付けられて殺害される事件が発生。日高地方の御坊市でも平成24年に旅館を経営する女性が刺し殺された事件は記憶に新しい。「田舎だから大丈夫」という時代は過去の考えになりつつある。
 先月20日には、世界で一番安全な都市とされる東京に比較的近い川崎市で中学1年生の男の子がカッターナイフで首を切られて殺害されるという残酷な事件が起こった。事件前には目に黒いあざをつくったり、不登校だったりしたことなどが報道されている。少年のSOSに気づけば、事件を未然に防げたのではなかったのか。犯罪に対する地域住民の力が試される。   (雄)