由良町が地域活性化、交流の拠点として進めている中地内の町有財産、通称旧原邸の改修工事が、近く完成する。旧原邸は平成23年2月に所有者から寄付を受けた古民家で、町では本年度3000万円の予算を投じ、建物の一部を産品販売所に改修。新たに常時使用できるトイレを建築、駐車場のアスファルト舗装などの整備も行っている。今月22日には内覧会や餅投げ、特産品販売などでリニューアルをお祝いし、新年度から本格的に供用を開始する。
 旧原邸の敷地は約2400平方㍍の広さで、建物は築百数十年。いずれも平屋建てで、195平方㍍の母屋、104平方㍍の長屋門(江戸時代の武家屋敷などで長屋の一部に門を開いたもの。明治以後は富農の家屋敷にも作られるようになった)のほか、蔵などもあり、レトロな雰囲気を漂わせている。JR紀伊由良駅から北へ約1㌔の国道沿いに位置し、乗用車数十台分の駐車場も備えている。これまでは薬草栽培などで町活性化を図ろうと活動しているNPO由良わくわく塾に貸し出したり、町特産品開発等グループ「ゆらつくらん会」の地元産品を使った料理試食・PRイベントの会場としても利用されてきた。
 活用方法は町の中堅、若手職員がメンバーの庁内プロジェクトチームでアイデアを出し合い、地域活性化、交流の拠点として整備する方針を決定。本年度は長屋門と母屋の間にトイレを新築、長屋門を産品販売所に改修、駐車場をアスファルト舗装などの工事を行っている。新年度には当初予算へ1100万円を計上し、新たに蔵の改修にも着手する計画。将来的には地元食材を使ったレストランやカフェなどの営業も考えている。
 運営は地元・隣接区、観光協会、NPO由良わくわく塾、ゆらつくらん会等で組織する町地域交流協議会(向井宏幸会長)が担い、産品販売所の営業などを含めた今後の活用法を話し合っていく。施設の名称は「ゆらっと紀州」。町職員のプロジェクトチームが考案した3点の中から選択する方式の町民投票で決まった。「ふらっと立ち寄りゆっくりとできるような施設に」との期待が込められており、設置及び管理に関する条例案が3月議会に提案される。
 工事は今月中旬に完成。22日は午前10時から内覧会や餅投げなどを予定している。