みなべ町西岩代地区の有志でつくる西岩代獅子舞伝承会は17、18の2日間、京都市内の6社で獅子舞を奉納した。昨年は、平成23年9月の台風12号豪雨からの復興を祈願しようと熊野三社で奉納しており、ことしは東日本大震災の被災地への思いを込めた。メンバーは「6社のご利益を持って、いつかは東北の被災地を訪問して元気づけたい」と熱い思いを持っている。
 西岩代の獅子舞は約250年の歴史があり、町の文化財指定を受けている。地元の若者を中心に2000年ごろから古老の指導をあおいで古来の獅子舞の姿を取り戻そうと活動を始め、2010年に伝承会を発足。秋祭りでの奉納だけでなく、幅広く活動している。
 昨年9月、台風12号豪雨被害からの復興を願って熊野本宮、熊野速玉神社、那智大社で獅子舞を奉納していた。メンバーの中から「熊野詣の到着地で奉納したのだから、出発地点である京都の城南宮でも披露できないか」との声が上がり、関係者から「城南宮へ行くなら、京都5社(上賀茂神社、八坂神社、平安神宮、松尾大社、城南宮)と上賀茂神社と一対の下鴨神社を含めた6社で奉納しては」とのアドバイスを受け、打診したところ各社から快諾を受けて今回、実現した。
 紀州梅の里救助隊の尾崎剛通隊長が伝承会の副会長を務めていることもあり、メンバーは以前から「東日本大震災の被災地を訪問して、獅子舞で少しでも心を和ませてもらいたい」との思いを持っており、各社では被災地への思いを込めて舞った。伝承会事務局で代表理事を務める中井誠さん(37)は「いい緊張感の中で奉納させてもらうことができました。各社の宮司さんからは『東北で奉納する機会があれば、京都6社のご利益も届けて欲しい』との言葉をいただきました。実現できるかどうか分かりませんが、いつか被災地で奉納して復興祈願するという思いを持ち続け、これからも社会貢献と、獅子舞を通じた地元の活性化へ活動を続けていきたいと思います」と力を込めて話している。